六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
「あれ、何してんの。さ――
――そこで晃が何を言いかけたか、このときの琴は知らなかった。
「……さっさと帰って勉強したら?」
「言われなくてもわかってるわ! 琴ちゃん帰ろ!」
「……琴ちゃん?」
晃が不思議そうに繰り返すと、司さんはドヤ顔をした。
「琴ちゃん。口説いたの」
口説かれてたの⁉ あまりにさらっと言うから、司さんの性格がどんどんわからなくなっていく。
って、今晃に向かって怒鳴ったよね? 司さんってもっとこう、孤高のイメージって言うか、みんなとは一線を画しているように見えていたから……。
「……女見る目は養えよ?」
どういう意味だこの野郎。司さんがいなかったら殴ってるぞ。
あまりに可哀想なものを見る目を司さんに向けるから、琴も一瞬殺気を出してしまった。
「私で悪かったな! もう行こ!」
司さんは琴の腕を摑んで、引っ張って歩き出す。
……もしかして司さん今の、琴に対して言ったと思った……? ……晃と仲いいのかな?
「司さん、こ――雪村くんと仲いいの?」