六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
琴もこんな風に笑っていた頃があるのかな、とか、琴もこんな風に笑ってみたいな、とか。
……司さんと相馬さんと、一緒にいてみたいって思った。
「うん……! 咲雪ちゃん、凛ちゃん」
名前で呼ぶと、咲雪ちゃんは嬉しそうにはにかんで、凛ちゃんは雑に琴の頭を撫でて来た。
一緒に歩き出した日。いつまでも絶対、忘れないよ。
――咲雪ちゃんと咲雪ちゃんのお母さんにあった大変なことを琴が知るのは、もう少しだけ先になる。
咲雪ちゃんみたいなカンペキな人は総てに恵まれていると思っていた自分を殴りたくなった。
みんな、他人(ひと)が知らないところで大変な思いをして辛い気持ちを抱えているものなのかもしれない。
でも、それを引きずって生きていたって、解放されない。
いつまでも、自分自身でそこに囚われていることを認めてしまっているから。
だったら、過去は過去として、今の自分があるのはその昔があるから、くらいに考えて、あくまで『今の自分』とは切り離してしまってもいいのかもしれないって思った。
琴は琴。中学でヤンキーだったのも本当。
でも、咲雪ちゃんと凛ちゃんの友達の琴も、琴だから。