六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
「晃くん?」
顔の前で手を降ると、はっとしたように瞬いた。
「かみ、なり……」
「え?」
晃くんに言われて窓の方を見ると、雨が降っている昏い空の遠くの方が、一瞬明るくなった。
「よく聞こえたね。って、晃くん?」
晃くんに、腕を摑まれた。
「ごめん、さゆ。お願いだからここにいて」
「へ? いや、こんな雨だから外へ行く用事もないけど……どうしたの?」
「………」
晃くんは答えず、ぎゅっと目を瞑って口を結んだ。
こう、くん?
「あの……本当に大丈夫? わっ⁉」
「ごめん、雷、聞こえなくなるまでだけだから」
こ、晃くんに抱き込まれた……?
晃くんの両腕がガッチリ私を抱きしめていて、晃くんの声は顔の横から聞こえてくる。