六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】


「だから付き合ってるとかじゃなくて――」


「でもさっき、晃が咲雪ちゃんに抱き付いていたよね?」


「あれは――」


……言えないよね? 晃くんの沽券(こけん)を守るためにも。


「俺、雷が苦手でさっきさゆに助けてもらってた」


言った――! この素直!


「雷だったら琴も苦手だもん! なんで晃なら抱き付いていいの⁉」


「琴? お前も何言ってるんだ? ってか、さっきから雪村のこと『晃』って呼んでないか?」


「あ」


琴ちゃんが、しまったというカオをした。


……うん? 私が晃くんの方を見ると、晃くんは琴ちゃんと自分を交互に指さした。


「琴と俺、一時期小学校が一緒だった」


こ、琴⁉ 晃くんが名前で呼んだ⁉


琴ちゃんはソファに座ったまま頭を抱えた。

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