六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
「……晃が転校する前の話だよ。前の苗字のとき」
「そうなの⁉ 晃くん黙ってたの⁉」
「高校でまた逢って、話しかけたら他人のフリしろって怒られた。琴が中学んとき荒れてたの知ってるからだと思う」
「「……あれ?」」
ていた? 凛ちゃんと声がそろってしまった。
琴ちゃんは顔を振り上げる。
「なーっ! ほんと晃のデリカシーないとこキライ! ……そうだよ。琴、中学んとき不良だったの。でも高校に入ったら真面目になろうと思って、知ってる人のいない学校に入ったら晃がいるし、晃は琴の黒歴史知ってるし、挙句の果てに咲雪ちゃんと仲いいし! さっきから『さゆ』って呼んでるよね⁉」
「俺の方が琴よりさゆと仲いいからかな」
「くっそむかつく!」
「こ、琴? ちょっと落ち着け。血圧あがりすぎだろ、お前」
凛ちゃんが、隣から琴ちゃんの肩を摑んだ。
「離して凛ちゃん。琴、殴り合いは得意なの。この間男を一発殴らないと気が済まない」
「真面目になる気ねーだろお前! 雪村もヘンな挑発するなよ! ――って、この中で雪村と親しくないの、あたしだけなの?」