六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
カチンときて、雪村を置いてダーッと駆けだした。
この……この減らず口がああ!
「あー? 今朝の雰囲気どこいきやがった?」
雪村がほざいてることも知らず、私は一人の背中に激突して抱き付いた。
「うわっ⁉」
「凛ちゃ~ん!」
「なに、咲雪? どうしたの」
「咲雪ちゃん、今日は遅かったじゃない?」
私が激突したのは、中学校から一緒の相馬凛(そうま りん)ちゃん。
隣からのんびり声をかけてきた八重歯が可愛い子は、高校で友達になった三科琴(みしな こと)ちゃん。
「ごどぢゃーん! あの悪魔がーっ!」
「うん、今日も雪村くんにいじめられたのね? あとで琴がお返ししといてあげるね」
「琴ちゃん天使~」
よしよし、と頭を撫でてくれる琴ちゃん。
ほんわかした見た目とその通りの性格で、本当に優しいんだ。
雪村のせいで生えたトゲが二、三本抜けた気がした。