六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
「巽? 好きだよー。ってか巽、食べ物の好き嫌いないよ」
そしてそういうことに全然気づかないさゆ。
……傍から見りゃあ微笑ましいけど、さゆの場合はそうも言っていられない。
「ふ、藤沢くん、来るんだよね?」
「たぶん」
「晃には訊いてない!」
俺が答えると怒鳴られた。
……どうしてさゆにはこいつが天使に見えるんだろう。目ぇ悪いのかな。今度眼科に連れて行こうかな。
「琴ちゃん、巽のこと苦手だっけ?」
……そういうことがわからな過ぎるさゆの発言に、三科は一瞬固まった。逆だよ、さゆ。
「三科、巽の隣に座らせてやるから、それで機嫌直してくれ」
「晃くんどういう嫌がらせ⁉」
怒られた。
「さ、咲雪ちゃん全然嫌がらせじゃないから大丈夫!」
頬を赤らめた三科が慌てて割って入って来た。
「咲雪―、お湯って勝手に使っていいー?」
「いいよー。ケトルに入ってるからー」
リビングから相馬の声が飛んできてさゆが応じている隙に、三科がまた睨んで来た。