六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
「さ、咲雪ちゃんと作ったお菓子もあるから……っ、あの、よかったら……っ」
「ほんと? ぜひいただくね」
……巽はわかってんのかな。
まあ、関わったら関わるだけ琴に睨まれそうだから、別に言わんとこ。
「晃―。お前両手に花状態じゃん」
リビングに入って来た巽がそんなことを言った。
部活帰りだからか、大きなスポーツバッグを肩にかけている。
……どこが? さゆ以外まともなのいねーと思うんだけど。
「巽、さっきばれたから言うんだけど、琴と俺、小学校が一時期一緒だった、顔見知り」
「こと?」
「三科の名前」
「ん、あー……了解。なんとなくわかった。三科―、それって晃と顔見知りだったって知られたくないってことでいいの?」
「藤沢くん超能力者⁉ その通りです!」
うん、巽の理解の早さは俺も毎回驚く。
あと、琴が荒れていたことは隠して置こう。
「藤沢―、まあここにでも座れよ」