六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
……さゆの声は、とても穏やかだった。
「さ――」
「だめだよ。触れられたくない、私たちの傷なの」
「あ……うん、ごめん」
そう言われて、相馬はバツが悪そうな顔になってすぐに引いた。
俺は……かばわれた俺は、またさゆに抱き付きたくなった。
また……さゆに護られた。
「あ、そうだ咲雪。お仏壇にお線香あげてもいい?」
急に、巽がそんなことを言いだした。
巽のことだから、空気を変えるために言ってくれたんだと思う。
「あ、うんぜひぜひー」
さゆが立ち上がると、巽が相馬と琴も促した。
廊下を挟んだ向かいの和室に、この家の神棚や仏壇がある。
俺も、毎朝手を合わせている。というのも、