六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
「おじいちゃん、大学の先生だったんだ。お母さんは私がいるってわかっても、相手は結婚する気がなくて。未婚の母になる一人娘がいるなんておじいちゃんの評判にキズをつけるからって、実家に帰らなかったの。
おじいちゃんとおばあちゃんは、何度も戻るように言ってたみたいだけど、お母さん頑固だから。
んでもおじいちゃんたちにとったら可愛い一人娘には変わりないから、せめてずっと残せるものを、って、住んでたこの家をリフォームしてくれてたんだって。
昔の家は知らないけど、写真で見る限り古民家? ていう感じだった。
私が二歳になる前におばあちゃんが病気で病院生活することになって、そこでやっとお母さん、私を連れて実家に帰ったの。
おばあちゃんもおじいちゃんも、すっごく穏やかで優しい人だった。お母さんが帰って来たの、すっごく喜んでくれてたの、憶えてる。
……だから、お母さんは帰ってこられなかったんだと思う。優しい人たちだから、心配や迷惑をかけたくなくて。でも、おばあちゃんは入院して一年くらいで亡くなっちゃって、おじいちゃんもその一年後に……。
だから今、晃くんや奏子さんとこうしていられるのって、おじいちゃんとおばあちゃんのおかげなんだ。……って、琴ちゃん⁉」
琴がすげー泣いてた。
「さ、咲雪ちゃん~、咲雪ちゃんが優しいの、わかった気がする~」
「ど、どうした?」