六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
ボロボロ泣く琴を見て、さゆが慌てている。
……琴ってこんな情緒不安定だったっけ? さゆのご家族がいい人揃いなのは俺も同意だけど……。
「琴も手ぇ合わせる~。咲雪ちゃんと咲雪ちゃんのお母さんを存在させてくれてありがとうございますって言う~」
「存在⁉ スケール大きすぎるよ!」
……ありがたみが存在までぶち抜いたか。どういう天井知らずなんだろうか、琴は。
「だって……高校で琴に話しかけてくれたの咲雪ちゃんだけだもん。咲雪ちゃんがいなかったら、琴また……」
……話しかけていたはずの俺はカウントされていなかった。
それはいいけど、なんかさっきから琴の方がさゆを大事にしてるみたいで腹立って来た。
「おにーさん、苛立ちが顔に出てますよー」
巽がにやにやしながら、俺の肩に肘を置いて頬をつついてきた。
「あれか? 三科に苛立ってんの?」
「……俺のがさゆと仲いい」
「はいはい。お前らの仲のよさに敵う奴いねーから安心しろって。まさか一緒に住んでるのは知らなかったけどなー」
琴と相馬にばれたから、その辺り巽にも話した。