六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
雨も止んで来た夕方、三人は帰った。
「はー、ごめんね、晃くん。全然仕事にならないで――晃くん?」
ふっと、引かれるように俺の額は、こちらを振り返ったさゆの肩に落ちた。
「どうしたの? ……やっぱ、怖いままだった? もう雷も聞こえないと思うけど――」
「俺、カッコ悪ぃ……」
「晃くんのどこが。カッコいいとこばっかじゃん」
「そんなこと、全然ない。雷のときも、さっきも、さゆに護られてばっかだ。……俺がさゆのこと、護るって言ったのに」
一緒に住むようになった翌日、さゆに言ったのに。
ふわりと、またさゆの両手が俺の頭を抱えるように廻った。
「あんなのお互い様だよ。晃くんとは長いこと、友達よりも家族って感じで来たじゃん。それに、晃くんはいつも私のわがまま聞いてくれてるでしょ?」
「……さゆ、我がままなんて言ってる?」
「学校では関わらないでってやつ。自分で言うのも難だけど、そんなこと言われ続けたら、私だったら愛想つかしてるよ」