六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
「……さゆが理由なしにそんなこと言うはずないと思ってるから。でも、今まで教えてもらえなかったのは、俺がそれを話すに足る相手じゃなかったから。……だから、さゆから話してもらえるまで待とうって決めてた。それまでに、さゆが話していいと思える俺になるんだ、って」
「……そうだったんだ」
「ん」
「……ここ、冷えるからリビング行かない? 今なら話せそう」
ソファに隣り合って座ると、さゆが話し出した。
「私、小学生の頃も、何かと競ってる男子がいたんだ。お母さんに心配かけないように、って勉強ばっかしてたら、いつの間にかその子と成績とかで競うようになってて。
んで、その男子ってのが頭はよくて運動も出来る、小学生だったら人気が出る要素を全部持ってるような子で、やっぱり女子から人気あったの。
そんな人気者の傍に私なんかがいていいはずがなくて、軽くいやがらせ――……の、標的になっちゃって。相手の男の子がそれに気づいて間に入ってくれて収まって、その仲裁が上手で、むしろいじめて来た子たちとも友達って言えるくらい仲良しにもなれたんだけど。
……やっぱ、女子のやっかみ? とか、怖くて……。女子同士のそういうの聞いちゃうと、すごく怖くなっちゃって、踏み込んだほど仲よくもなれなくて……。
凛ちゃんと琴ちゃんだけが、不思議と特別なんだ。二人には話せないこともあるけど、いつかは話したいって思える。
晃くん、女子にも人気あるし男子からも慕われてるし、また私なんかが傍にいてそういうのになったら、優しい晃くんにまで迷惑かけちゃいそうで……。
それが心配で、嫌で、学校では関わらないでって言ってたの。すごい自分勝手で我がままでしょ?」
喋るさゆの声は、だんだん震えて来た。