六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
「巽?」
叩かれた頭に手をやって見上げると、巽は不服そうな顔で俺を見下ろしていた。
「ばーか」
「え、なに」
「ばーか」
「巽?」
何故か「ばか」を連呼した巽は、ふいっと視線を逸らしてそのまま教室を出て行ってしまった。
……なんだ?
「あ。あいつのこと咲雪に言うの忘れてた」
不審がる俺の視線を背中に受けながら、巽は何かをつぶやいたようだった。