六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
なんとなくイライラを引きずりながら、教室へ向かった。
……ああ、独占欲ってこういうときに出るんだ。
さゆは俺のじゃないのに、さゆのライバルって言われるのは俺だけでいいって思ってしまった。ガキくせー。
……そんなモヤモヤを抱えたままの朝のホームルームが始まってすぐ、俺は不機嫌になった。
「青山旭(あおやま あさひ)です。よろしくお願いします」
テンプレートな自己紹介をした転校生。
ガタッと、少し離れた席から大きな音がした。
「旭⁉」
え、と顔をあげれば、声の主は目を輝かせたさゆだった。
……誰?
「あ、おーい、さゆー。巽もいるー」
やたらニコニコしている転校生に名前を呼ばれたさゆと巽。
……は?
「へー。咲雪と藤沢の同級生」
ホームルームが終わってすぐ、さゆと琴、相馬と巽が俺の近くに寄って来た。
転校生が俺の隣の席になったから。
さゆの同級生って……。巽が大きく肯く。