六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
巽がそう言うと、青山が振り返った。
「うん。母親が結婚したの」
「あ、やっぱ。おめでとう?」
「ありがとー。あとさ、俺まだ『青山』って苗字に慣れてなくて、出来たらみんなにも『旭』って呼んでほしいんだけど」
「複雑みたいだね。ってか、よく咲雪と藤沢がいる学校に転校になったよね」
相馬が腕を組みながら言う。
「あ、それは仕組みました」
……は?
「母さんが結婚して母校の小学校が近いこっちに来ることになったんだけど、どうせだったらさゆと同じ学校がいいなーって思って、巽に訊いたんだ。そしたら巽も同じ学校だって言うから、これはここしかないなって」
……さゆを狙ってここへ来たってこと? ちょ、ふざけんな――。
「青山、言っとくけど咲雪、彼氏いるからね?」
「えーと、相馬さんだっけ? 青山じゃなくて――」
「別にいいじゃん。新しい苗字にも早く慣れた方がいいでしょ?」
相馬フリーダム。こいつに抗うだけ無駄だとは俺もよく知っている。
青山は困った顔になった。