六花の恋-ライバルと同居することになりました?-【完】
「……へ?」
「その、なりゆき? だけどさゆと一緒にいられて、俺も幸せだから。だから、今のは照れ隠しって言うか恥ずかしくて――」
って、俺は何を口走っている。柄にもなく大声をあげてまで。
――そうまでしてでも、さゆを泣かせてしまったことを取り返したかった。
「……ごめん、俺、ほんと感情表現ヘタで……」
頭を抱えたくなるくらいだ……。
「……晃くん、こっち来て」
さゆに腕を摑まれて、ソファの方へ連れて行かれた。
「こっち。横向きで座って」
謎の指示をされて、でも今、分が悪い身として素直に言う通りにした。
二人掛けのソファの右半分に横向きに座ると、さゆが反対側――背中を合わせて、俺の反対を向いて座った。
……さゆの顔は見えないけど、直に体温がわかる。これもなかなか気恥ずかしいんだけど……。
「嬉しかった」