あの日の約束
斗真side
扉を開けるとそこには玲於が立っていた

玲於「よっ、元気か?」


俺は扉を閉めようとした

ガンッッ!!!

玲於が足を挟んで無理やり扉をこじあけた

玲於「おいおい、顔を見た瞬間それかよ?

俺悲しくて泣いちゃう」

玲於はそう言って泣き真似をした


斗真「……なんだよ」

玲於「なんだよって…まぁ気分転換に外散歩しようぜ」

玲於はそう言って半ば強引に俺を連れ出した

わざとなのか玲於が歩く道はどれも真麻との思い出の場所だった

そして玲於は桜の並木で足を止めた


玲於「なぁお前はさここの桜見たことあるか?」

斗真「……」

玲於「真麻さ、ここの桜を見るのが凄い好きでな…毎年楽しみにしてたんだ」

斗真「……」

玲於「それなのに…真麻はもう桜を見ることが出来ないなんてな…」

玲於は俯いた

斗真「…お前はそれを俺に言うためにわざわざここまで連れ出したのか?」


玲於は意を決したように顔をあげた


玲於「なぁ、お前明日準決勝だろ?」

斗真「そうだったな…」

玲於「明日来るよな?」

斗真「………」

玲於「なんか答えろよ」

斗真「俺は…もうサッカーしたくないんだよ」

玲於「じゃあお前はこのままサッカー辞めるのかよ?」

斗真「……」

玲於「そっか…お前はまた同じ過ちを繰り返すんだな…」

斗真「ッ……」

玲於「ふざけんじゃねぇぞ!!!」

斗真「うるせぇ!!!

お前に俺の何が分かる!?

真麻は全国の舞台に立つことを夢見てた

それがあいつの夢だった…

でもその夢はもう叶わないんだよ…

俺はあいつがいるサッカー部が好きなんだ…
俺はあいつの居ないサッカー部なんて耐えれない


気付いたらあいつの姿を探してる

全力であいつを忘れようとしても全身であいつを探してるん玲於「真麻はもう居ないんだよ!!!!!」

玲於が俺に被せるように叫んだ

玲於「あいつは…もう死んだんだ…もうこの世に居ないんよ!!!」

斗真「それは…分かってる…分かってるよ…

けど…俺にとってあいつは全てだった…


俺だってこのままじゃいけないって分かってるよ

俺の心と体が喧嘩してるんだよ…

けど…無理なんだよ。あいつの死を受け入れるのは…

なぁ、玲於…俺どうしたらいい?

苦しいんだ…毎日毎日目を瞑ったらあいつの顔が浮かんでくる

あいつが居ないと俺はダメなんだ…

もう無理なんだよ…」

玲於「ッタク……ほらこれ」

玲於は突然手紙のような物を差し出した

斗真「……これは?」

玲於「真麻からの手紙。親父さんから預かったんだ。」

斗真「真麻が?」

玲於「あぁ。それ読んでもう1回考えてみろ」

俺は玲於に言われた通り手紙を開けた
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