恋は思案の外




「……、アンタの家のキッチンぎったぎったに汚していいなら」

「素直じゃねぇな~」



朝冷めた視線で見据えていたバレンタインの特設コーナー。

まさか夕方になって、自分がこの場所を再び訪れているなんて想像も付かなかった。



折角だから日頃関わっている人たちにも作ろうかな、なんて。バレンタインの日は過ぎちゃうけど仕方ない。

あのストーカー警察、小学生コンビ、しょうがないから店長にも。あと、さっき家路に就いたおばあちゃんにも明日渡そう。ヒト科の隣で選んだ板チョコは、安いけれどすごく甘そうだと感じた。




    バレンタインのチョコくれよ

   ( わたしも欲しい。誰か下さい )

        *saki





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