恋は思案の外
* * *
「お疲れさまでしたー」
「お疲れ様いろはちゃん。また明日ね」
「はーい」
今日もシフトが一緒だったパートのおばちゃんに軽く頭を下げて外に出る。
やっと春の気配がしてきたかな。肌をピリッと刺すような風から和かな其れへと変化していることを感じ、小さく息を吐いた。
本当に家に押し掛けられても困るし、しょうがないからチャリ屋への道のりを進むべく愛しのハヤテ号へと跨る。
ていうか何でヒト科わたしの家知ってんの?え、普通にちょっと恐いんだけど。
「おー、来たな」
そんなことを考えていたら、いつの間にか奴の陣地までやって来ていたらしく。
軒先でわたしを見つけたヒト科を見遣り、愛しのハヤテ号(今日もお疲れ。愛してるよ!)に熱視線を送りながら脇に停めた。
「で、見せたいものってなに」