恋は思案の外
「ちょっとちょっと、どうしたのそのネコ!」
「いやー、近所でダンボール詰めにされて捨てられててな。こりゃもう俺のところに来るべくして待ってたんじゃねぇかって」
「…アンタ生き物の面倒見れんの…?」
「オイオイ、お姉さん俺のことなんだと思ってんの?地球人よ?異星人かなんかだと思ってねぇ?」
「いやさすがにそれは思ったことないけどさ…」
チラリ、視線を下げると変わらず此方を見つめる真ん丸の瞳。「ウニャー!」拘束されるのにそろそろ疲れてきたのか、ヒト科の手の中で身を捩ってくねくねしてる。……か、可愛い。
それはヒト科も感じていたのか、徐《おもむろ》に立ち上がった奴に倣ってその背に続く。
チャリ屋奥の四畳半の和室―――お馴染みのその部屋にたどり着いた時、思わず「んな!」と声を上げてしまったわたしは正常だと信じたい。