恋は思案の外




「スゲーだろこの脱走防止策。まだ外は危ねぇからな」




和室内でネコを解放し、ふんぞり返るヒト科を見遣るわたしの目はほぼほぼ点だったに違いない。




「アミだらけじゃん…」




そう。ヒト科の唯一のリビングとも呼べるこの部屋は今や、四方八方にワイヤーネットが張り巡らされてまるで牢獄のようだった。

そして所狭しと置かれる猫グッズ。トイレ、爪とぎ、ポール式のキャットタワー…。

これ人間くつろげんの!?無理じゃない!?




「お姉さんに見せたいモンがあるって言ったろ」

「? ネコでしょ?」




首を傾げるわたしに対し「ちっちっち」と人差し指を左右に揺らすコイツ。何その「分かってねぇな」みたいな反応。腹立つぅ!




「ホラ、コレ」

「は?」




ヒト科が指差すのは巨大に張り巡らされたアミ。だから何。


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