恋は思案の外



「だ、だから何――…って、何して…っ」

「それ聞いて考えたんだよね」



流れるように、わたしの腰にヒト科の手が回る。

そうしてエプロンの腰紐をするりと外されてしまえば。



「俺色に染まるいろはってどんなだろうな、って。」



ヒト科の口端はゆるやかに上がったとき。

わたしの顎はくいっと持ち上げられ、さらに近づいてしまう距離。

優しく触れたヒト科の、大きな手と節くれ立つ指が――



「こんの――…、 変態がああああああ!!!!!」

「ぐ、はッ…! ナ、ナイス…グーパン………」



わたしの声が店内に響いて、お客さん全員が肩を揺らし。

店員たちは気にせず業務を続け。

店長は頭を抱え泣きそうになっていたと、後にパートのおばちゃんが教えてくれた。





     あなた色に染まります?
   (絶ッッ対に染まりません!!!)

         *imu

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