恋は思案の外
「だって仕事終わりで歩いてたら、浬さんが一緒に呑もうぜって誘ってくるからぁ~~」
「誘ってねーよ!お前が勝手に乱入してきたんだろ!!」
「にゃーにゃー!」
ぐるぐる巻きになっていくヒト科の姿に更に興奮したのか、タマが勢いよく飛びついたせいでヒト科が倒れる。
ドターン!と、受け身も取れずにお縄状態で倒れながら尚もストーカー警察にいちゃもんを付けるヒト科。
ちょっと、シュールなんですけど。なにこの図。
「いろは~~一緒に呑もうよ~! あっ、ビールじゃんやったぁ!」
「やったぁ!じゃねーよ。コレはわたしのビールなんだよ! 渡すか!!」
「ちょっ…苦し…タマぁあああおい手加減ねーな!!」
ついに沈み始めてしまった夕暮れの空を見つつ、買ってきたばかりのビールを「プシュッ」と開けて喉に流す。
腰に片手を添えて、「まるで風呂上りの牛乳でも飲んでいるみたいだね」と言ったショウヤの言葉は完全にスルー。