恋は思案の外
「え?」
ビックリして目の前に立っているお客様を見上げると、これまた目を見開いているお客様(男性)。
「え? え?」
何がなんだかわからない。
え、どういう状況だ、コレ。何状態?
テンパる頭を何とか処理しようと、とりあえず落ちた何かを探してみる。
と、レジのカウンターに小さなウロコのような物が落ちているではないか。
これは――「コンタクト?」
間違いない事実をぽつんと呟くとわたしの頭は急激に冴えてきて、『ああ、きっとお客様の目からコンタクトが落ちたんだろうな。』という考えに至った。
ので、
「あの、お客様。コンタクトが――」
落ちたようですけど。
と。
そう伝える前にがしりと掴まれたわたしの両手。
状況を把握しようと顔をあげると、目の前にはぼうっとしてるような、どこか獲物を見つけた猛獣のような。なんだか不思議な生物(ヒト科)がいた。