恋は思案の外
不変のなかに変化ありです
快晴が続いていたこの日本列島にも、昨日。
きっと全国民が憂鬱な気分になるであろう季節がやってきました。
「髪の毛がうねる……!」
――とうとう、梅雨入りです。
「いろはちゃんは可愛いから全然気にならないわよぉ」
「可愛くないです! 本人はとっても気になるんです!」
若いわねぇ、とパートのおばちゃんが笑う。
それに笑い事じゃないんですぅと口を尖らせて、空を仰いだ。
梅雨入りを果たしたこの田舎町も、今日は見事なまでの晴天である。
でもいくら天気が良くっても湿気は去ること無く在住しているから、わたしの髪の毛も絶賛反抗期だ。
「湿気、滅。」
「いろはちゃん、目が怖いわよ」
まだ午前中なのに髪の毛のこのうねりよう。先が思いやられます。
「さ、そろそろ店に出ましょうか」
「……はい…」
開店前の更衣室兼荷物置きの事務室でパートのおばちゃんと談話すること、約10分。
ようやく9時になったところでおばちゃんが、ひとこと。
――さあ、開店時間だ。