恋は思案の外
「ちょ、え? な、なんです?」
ひええええ! なにこのひと!
こわい!キモい!やだ!
無理いいい!!!
目の前の生物(ヒト科)に思いっきり嫌悪感を示して顔を引き攣らせるが、当の本人は気にしていないのか、はたまた気づいていないのか。何の反応もない。
んん!!?
むしろ握ってる彼の手に徐々に力が入ってる気がするんですけど!!?
「ひっ、は、離してください勘弁してください…!」
「うわぁ」
「うわぁ。……じゃねぇよ!手ぇ離せっつーの!」
あまりにも必死になってしまって敬語も忘れてしまったけど、そんなことこの際どうでもいい!
その手をはよ離さんかい!!!
「なぁ。 ちょっと話を聞いてはくれまいか、お姉さん」
「何! いい加減にしないと警察呼ぶよ!?」
そう半ば叫ぶように喋るわたしなんかお構いなしに、ニヒルな笑顔を浮かべた目の前の生物(ヒト科)は次の瞬間とんでもないことを口にした。