恋は思案の外



「いやぁ、俺、仮にもチャリ屋じゃん。チャリ屋としてチャリに乗らない訳にはいかねぇじゃん?」

「ばっかじゃねーの!? これマラソン大会だから!趣旨わかってる!?走れよ!!!」

「走ってるじゃん。チャリで。」

「誰がチャリで走れっつったよ!自分の足で走るっていう暗黙のルールがあるでしょうが!」




ねぇ、わたし初めて見たんだけど!

マラソン大会にチャリで参加してる馬鹿!!




「えー、走りたくねぇなぁ。怠いし。キツいし。そういうの嫌いだし」

「じゃあ何で参加したんだマラソン大会に!お前もう帰れよ! っていうか反則で強制退場だよ!!」

「この子バネッサっつーんだけど、最新型でな。なんと6段変速ですっげぇ快適!」

「人の話を聞けええええ!!!」




っていうかスタッフも誰も気付かなかったの?チャリに乗ってる馬鹿がいることに?誰も注意しなかったの?




え?もしかしてこれってチャリ参加OKなの?


この馬鹿の後ろを頑張って走ってる街の人達がおかしいの?いや、わたしがおかしいの?



「あー、浬さん。自転車に乗っちゃダメだよー」

「ですよね店長うううう!!!」



よかった!やっぱりわたしは正しかった!

おかしいのはコイツだ!このダメなヒト科!!



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