恋は思案の外




色んな意味でわたしが爆発したい5秒前。

服の裾をぐんっと引っ張られる感覚をおぼえて視線を下げれば、何だか見覚えのある顔を発見してしまった。



「いろは姉ちゃんじゃん!それにカイリも!」

「………へ」

「おいおい、俺はオマケかよユウキ~。プラモやるからあっち行け」

「ユウヤだって!つーかカイリ口ばっかりでプラモ全然くれねぇんだもん。なあタクミ?」

「俺この間もらったけど」

「はぁ!?ずっりー!」




子犬さながらにきゃんきゃん吠えてヒト科に噛み付く小学生の二人組。

思い出すのはあのお泊まり事件。瞬時に頬に赤が迸ったことを自覚して俯けば、「おや?おやおや」とわざとらしさ全開で揶揄し始めた奴にグーパンチをお見舞いしてやった。

そんなわたしたちを目の当たりにした少年二人は目を丸くしつつ、「かっけえ」と称賛の言葉を向けてくれる。

そうだろうカッコいいだろわたし最高だろ!(やけくそ)






「それはそうと、何でカイリたちがここに居んの?もしかして○○レンジャー観んの?」

「そ、それは――」

「観るに決まってんだろ。分かったらてめぇらさっさと失せろっつーのー。最後尾はあちらですハイどうぞ」

「大人なのに観んの??」

「わたしは別に――」

「大人だったら観ちゃいけない決まりでもあんのかコラ。俺はな、見た目は大人でも心は純粋な少年そのものなんだよ」

「ちょ!?そういうこと言うのやめてよヒト科ッ(小声)」

「何だよいろは嫉妬してんのか?こんなガキ気にすんなよ(小声)」

「今の会話の流れでむしろそんな部分ミリ単位でも存在した!?アンタの頭マジで意味不明だな!!」

「いろは姉ちゃん大丈夫か?」

「だ、大丈夫~!」



疲れた。




< 62 / 132 >

この作品をシェア

pagetop