恋は思案の外



本当に疑問に思っているんだろう。

ユウヤ・タクミのふたりは同じ方向に同じように首を傾げている。

そこに意地悪だとかからかいだとか、そんなものは一切感じられなくて。ただただ純粋に聞いているようだった。


そんな子どもの期待を裏切るようで悪いけれども、わたしとヒト科は決してそんな関係では――


「あのね、そんな訳な「おー!そんな風に見えるか?」



ない、と。答えようとしたわたしを遮ったのはヒト科ああああ!!!!何を嬉しそうにニヤニヤしながら言ってんだボケが!!

ふつふつと込み上げる怒りをなんとか抑えているわたしを他所に、ヒト科はさらに言葉を続ける。



「だけどなー、残念。 付き合うどーのこーのの前に結婚すんだよ、俺たち。」

「ねぇ!!アンタの思考回路ってホントどうなってんの!!!?」

「いろはは運命の伴侶――」

「気持ち悪い!!!!」

「いっ、てぇ!!」



一生懸命背伸びをしてポンコツなヒト科の頭にゴンッと鉄拳をお見舞いすると、たんこぶできた!なんて言いながら涙目になってわたしを見下ろす。


そんなわたしたちを見ていた子どもふたりは「おお……」と感嘆の声を漏らしたが、顔を見合わせるとうんうんと頷き合っていた。



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