恋は思案の外
プラモで小学生を釣りました
時刻は午後2時に差し掛かったあたり。
春の日差しを受けながらも今日のバイトを終えたわたしは、いつも通り愛車(チャリンコ)に跨り意気揚々と家路に就いていたのだけれど。
「………おっとォ?」
なんだか嫌な予感がする。うん、とりあえず降りよう。
さっきなに踏んだ?石ころ?石ころなのか?
明らかにガックンガックンと可笑しな動きを繰り返すわたしの可愛いハヤテ号(チャリンコ)。
よっこらせ、と尻を退かせて問題のタイヤ部分を凝視してみる。と、
「パンクだね」
真後ろから伸びてきた声音に直ぐさま顔を反転させてみる。
さんさんと太陽の光が降り注ぐ中、立ち止まりこちらを見下ろしている男(ヒト科)を認めた。
勢いよく振り仰いだせいで、身体が変に捩れて物凄く痛かった。って、あれ。
「あれれ!お姉さんじゃん。スーパーで俺のウロコ拾ってくれたお姉さんじゃん」
「ゲッ」
「これってもう運命だよな。うん、それ以外考えらんねーもん。よし結婚するか」
「しないっつってんだろ!なにその軽いノリ、おかしいよね。よしコンビニ行こうぜ的なノリで言う台詞じゃないよねソレ」