恋は思案の外




何を勝手なことばかり言い出すんだコイツは!

思わず勢いよく店長に視線を戻した。勿論わたしに同意してくれると信じて。

しかしながら、その予想は大きく外れることになる。

考え耽るように顎先に指を添えた店長は、



『うん、そうだね。鳳さん、カイリさんと遊んできなよ?』



ニッコリと照り輝くような笑みでそんなことを口走る。

思わず目を白黒させてその言葉を反芻した。

え、嘘でしょ?まさか店長まで宇宙人なの?そっちサイドなの?





『僕からすれば二人にはもっと仲良くなってもらわないと。今日みたいなのはもうゴメンだしね。それには、親睦を深めるのが一番でしょ?』

『店長!』

『よし決めた。鳳さん、今日態度が悪かった罰として明日はカイリさんと出掛けること。これなら文句ないでしょ?カイリさん、よろしくね』

『任せろ』




驚きすぎて声も出ない。

そんなわたしを知ってか知らずか、大きく頷いてみせたヒト科は誇らしげに胸をドン!と叩いていて。

ちょっとォオオオオオ!人権侵害!


胸中轟かせる勢いでそんなワードを浮上させていたわたしだったけれど、店長の言葉が的を射ているのは確かで何も言えずに居た。

だって失態を晒したのはわたしな訳で……くそう、悔しい。



思わずキッと真隣のヒト科を睨み上げたけれど、そんな視線なんて痛くも痒くもないと言わんばかりにヤツは破顔一笑した。




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