恋は思案の外




「っていうか今いろは『助けろ』っつったよな?普通そこ『助けてっ浬さん!』じゃねえの?オプションで『きゃああああ』っつー黄色い歓声も付けてもらって構わないけど」

「‥‥‥」

「つうかオイ、テメェは本ッ当に懲りねえなー。いろはは俺のだっつっただろ」

「‥‥浬さん!いつの間に!!」

「オイオイオイオイ、ヒーローの素敵無敵な登場シーン見て無かったのかよ?そこ一番見逃しちゃ駄目なトコだろ?瞬きすらも惜しいくらいの見どころだろ??」

「あっ、そう‥‥だよね‥‥。ごめんね浬さん、もう一回やってくれる?」

「(なにが『そう‥‥だよね‥‥』だよバッカじゃないの)」

「しょうがねえなー。いろは、悪ィけどコレちょっと持っててくんね?」

「ああ、ハイ。‥‥て言うか何コレ」

「パチンコの景品」

「」



あれ、おかしいな。なんか今わたし此処に居るのがすっごく馬鹿らしく思えてきた。

て言うか何で吹雪なのに早く家に帰らなかったんだっけ?あれ?もう帰っていい?

ハヤテ号に積もる雪を手でサッと払っても、払っても払っても再び雪は積もる訳で。













「ねえ‥‥いっこ聞いてもいい?」

「どした?」

「なに?いろは」



「わたし帰ってもいいかな?」

「「駄目」」




何で選りによって吹雪のときに外でこんな風に集まるんだよ。

即答され軽くたじろいだ所為で紙袋からコロコロとカップ麺が転がり落ちる。

て言うかまたカップ麺かよ!ほんっとカップ麺好きだなヒト科!!




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