セカンド レディー
「まぁ、いいや。とりあえず行こっか?」
差し出された手を握るのではなく、その腕にあたしの腕を絡めようとしたとき…。
「おい」
低い声と共に、突然後ろから絡めようとした腕とは別の腕を掴まれた。
ゆっくりと振り返ると、そこにはフードを被った見知らぬ男の姿。
フードから出ている髪は、闇に染まったのかと言うぐらい綺麗な黒色。
長い前髪の向こう側では、くっきり二重が切れ長の目を引き立たせ、スーッと通った鼻筋もすごく綺麗。
おまけに、只者じゃないと言わんばかりの圧倒的オーラ。
ビックリするくらい整ったその容姿のせいか、はたまた、人を寄せ付けない黒いオーラを放っているせいなのか、あたしの心臓は大きく脈打った。