セカンド レディー


「カタ…カタカタッ……」




すぐ側から聞こえるタイピングのような音。



目を覚ますと、向かいのソファでは、恭平くんがパソコンをつついていた。




「おはよ、よく寝れた?」



体を起こすあたしに気づくと、ニッコリ微笑む彼。



「このソファめっちゃ寝れる」


ふかふかすぎて、ベッド並みに寝れちゃう。自分でもびっくりだよ。



「流牙たち、先に倉庫行ってる。俺達も行こっか」



そう言うと、パソコンをパタンと閉じ、カバンにしまった。


もしかして、あたしが起きるの待っててくれたのかな…。


そんな淡い期待を胸に抱いく。



「なんで、待っててくれたの?」


いつも通りの笑顔を浮かべ、首を傾げて恭平くんを見つめる。



「なんでって、柚姫は霜華の姫なんだから1人にさせれないでしょ」



あぁ…。


そういうこと。


彼は霜華の幹部としての役目を果たしたに過ぎない。


期待するだけ無駄。結局彼も他の男と同じ。




「…バカみたい」




「ん?なんか言った?」



「なんでもない。行こっか」


再び、ニッコリ微笑むと、彼と2人で倉庫に向かった。


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