セカンド レディー

「珍しく機嫌いいな。最近家来ないからどうしてんのかと思えば、ここにいたのか」



抱きつくあたしの頭を優しく撫でる大きな手。


そう、こいつらにとっては猫かぶりのあたしに見えても、優牙くんにとっては機嫌のいいあたし。



「つーか、また痩せただろ?ちゃんと食ってんの?」



そういえば、お昼に貰ったたまごサンド、鞄に入れたままだ。

起きたら食べようと思ってたけど忘れてた。




「おい」


「そろそろいいかな〜」



しびれを切らしてついに後ろの男どもが声をかける。


まあ、それはひっっっくい声で。


全然怖くないけど。





「あのさ、2人ってそういうカンケーなの?」



「んー、魅斗くんのいう"そういう"は分かんないけど、何日も夜を一緒に過ごした関係って言えば通じる?」



あえて、トーンは下げずそのままの声で答える。



「はあぁあ?優牙さん、柚姫ちゃんの本性知らないでしょ?しかも、未成年!!高校生!」



…瞬くんうるさいっ。


耳壊れるんだが。




「おい、柚姫」



そして、ドスをきかせた声に人を殺す鋭い目付きであたしを睨む流牙くん。




「お前が今まで何人の男と関係を持ったか知らないが、兄貴はやめとけ。兄貴も柚姫に手出すなよ」



なんだろう、このなんとも言えない言葉。


兄弟だし、優牙くんの味方をすると思ったけれど、多分、どっちの味方でもない気がする。




「優牙くんは、あたしに手出さないよ」



ふっと軽く笑ってみせる。


優牙くんは決して、あたしを一人の女として見ない。


多分、妹みたいな感じだと思う。

歳も離れてるし、よく面倒見てくれるもん。



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