セカンド レディー
「…じゃあ、本当の本当に付き合ってないんだね?」
「だからそう言ってんじゃん。何回聞く気?」
この人たちがあたしの事をどう思っているのかは、よく分かった。
だから、ネタばらし。
と、言っても、あたし達の関係はただの知り合いってだけ伝えただけだけど。
ただ、それでもまだ疑っている人も何人かいるみたい。
「柚姫はお前らが思ってるような子じゃないよ」
優牙くんの大きな手がぽんっとあたしの頭に置かれた。
初めて感じた時と同じ。あたしはこの温かく大きくて、あたしの中にとけ込む優牙くんの手が好き。
優牙くんの胸にそっと顔を埋(うず)める。
「柚姫が前言ってたたった1人、信用できる人ってまさか…」
この流れでそう考えるのは至って自然なこと。
だけど、残念。
ハズレだよ。
「柚姫は俺のこと、信用しないよ」
あたしに代わって答える。
彼自身も当然このことに気づいてる。
「んじゃ、そろそろ帰るわ」
優牙くんの膝の上に座るあたしをソファに移して立ち上がる。
「え、帰っちゃうの?」
思わず優牙くんの方を見る。
「ダメなの?」
キョトンとした顔であたしを見つめる。
…間違えた。
思わず本音が。
いつものあたしなら笑顔で「またね〜」って返すのが鉄則。
引き止めるなんてそんなめんどくさい女みたいなこと、あたしが口にするなんて…。