セカンド レディー
「また来るから」
それだけ口にすると、優牙くんは帰った。
「柚姫ちゃん、夕飯なんだけど」
「たまごサンドあるからヘーキ」
ソファに寝っ転がりスマホをつつきながら返事をする。
ここに来てから一度も使わなかった男用のスマホ。
久しぶりに電源をつけると、何件もメッセージが溜まっていた。
トーク画面を開かず、長押ししてメッセージだけ確認するも、
"今晩ひま?"
"久しぶりに会える?"
"彼女と別れたからいつでも来ていいよ"
など、同じようなメッセージばかり。
あたしがここにいる限り、この男たちと会うことは無い。
必要のない連絡先を消さないのは、きっとあたしが弱いから…。
下唇を噛み締めて、スマホの電源を落とすと、「お風呂行ってくるね」と、にっこり微笑んだ。