セカンド レディー


「陽向、一発殴らせろ」


陽向に返事をさせるスキさえ与えない。

低い声とバキッと音が同時に響いた。




「陽向には、柚姫ちゃんがそういう子に見える?」


不安気に訊ねる瞬。



「…信用、出来ないのは確かだ」


今にも消えてしまいそうな程小さな声で呟く。


「確かに柚姫ちゃんはあぁいう子だけど、たまに見せる笑顔は本物だと思うよ」


悲しそうに呟く瞬。

この中ではよく柚姫と関わっている方だ。それは、こいつが女好きであり柚姫に対しても最初は気のある素振りを見せていたからだと深く考えなかった。

おまけにその行為は、柚姫だけに限定されず、そこら辺にいる女とも変わらない。

だからこそ、柚姫のことをちゃんと見ていたことに正直驚く。



「陽向が調べたならそうかもしれない。だけど、ゆったんは噂通りの子では無いと思うんだよね」


気まずそうに魅斗が口を開く。


それは俺も引っかかっていた。

あいつといればいるほど噂と掛け離れる。


所詮はただの噂。

それだけで済めばいいが、本当にそれだけなのか…?




「兄貴は、柚姫のことどこまで知ってんだ?」


あの柚姫が心を許す相手。


柚姫のためにここまで怒る兄貴。



二人の関係は、本当にただの知り合いなのか?


< 154 / 297 >

この作品をシェア

pagetop