セカンド レディー
*
『朝には迎えに来るから』
それが、最後に聞いたママの言葉。
あの日からママのことを忘れた日は1日だってない。
あたしは毎日、ママの帰りを待った。
だけど、心のどこかでは分かっていたんだ。
ママはもう、
あたしのところに戻ってこない。
「…柚姫」
真っ暗な暗闇の中で聞こえる、あたしを呼ぶ優しい声。
「…ん」
ゆっくりと瞼を開けると、薄暗い光のない光景が視界いっぱいに広がった。
「…なんで、優牙くんが……」
あたし、確か……。
ふと、腕に目をやると丁寧に包帯が巻かれていた。
やっぱりあれは現実だったんだ。
だけど、不思議と遠い昔のようにも感じた。
「ここ、俺の部屋」
そう言われてみれば…。
だけどあたし、倉庫にいたはず。
「流牙から聞いた。辛かったよな…」
上半身を起こすあたしを、優牙くんはそっと抱きしめた。