セカンド レディー
*
あれから1週間。
長かったテストもようやく終わりを迎えた。
「ゆったん〜!」
「きゃっ」
名前を呼ばれたのと、後ろから抱きつかれたのはほぼ同時だった。
あの日から、幹部室にも空き教室にも行かなかったため、当然みんなに会うこともなかった。
同じクラスの恭平くんとは会うぐらいだけど、それと言って会話を交わしてない。
「…おはよう」
一瞬の動揺を隠して挨拶をする。
「おはよ」
いつも通りの笑顔で、何事も無かったかのように振る舞う魅斗くん。
魅斗くんはあの場にいなかったけど、陽向くんから話を聞いているのかな…?
あたしのいないところであたしのことを話されるなんて、いつものことなのに、どうしても気になってしまう。
「今日の放課後さ、空き教室来れる?」
視線を逸らさず、笑顔も崩さない魅斗くん。
魅斗くんが知っていようが知っていなかろうが今はそんなこと、関係ないよね…。
それに、いつまでもこのままってわけにもいかない。
だけど、あたしはあたしの事もママのことも誰かに話すつもりは一切ない。
もしも、あれ以上のことを訊くつもりなら、あたしは霜華の姫を辞めるだけ。
「…いいよ」