セカンド レディー





あれから1週間。

長かったテストもようやく終わりを迎えた。





「ゆったん〜!」


「きゃっ」



名前を呼ばれたのと、後ろから抱きつかれたのはほぼ同時だった。



あの日から、幹部室にも空き教室にも行かなかったため、当然みんなに会うこともなかった。

同じクラスの恭平くんとは会うぐらいだけど、それと言って会話を交わしてない。




「…おはよう」


一瞬の動揺を隠して挨拶をする。



「おはよ」


いつも通りの笑顔で、何事も無かったかのように振る舞う魅斗くん。


魅斗くんはあの場にいなかったけど、陽向くんから話を聞いているのかな…?


あたしのいないところであたしのことを話されるなんて、いつものことなのに、どうしても気になってしまう。




「今日の放課後さ、空き教室来れる?」


視線を逸らさず、笑顔も崩さない魅斗くん。


魅斗くんが知っていようが知っていなかろうが今はそんなこと、関係ないよね…。

それに、いつまでもこのままってわけにもいかない。

だけど、あたしはあたしの事もママのことも誰かに話すつもりは一切ない。


もしも、あれ以上のことを訊くつもりなら、あたしは霜華の姫を辞めるだけ。



「…いいよ」




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