セカンド レディー
*
「…ん」
あれ…?
目を覚ますと、あたしの体はまだ流牙くんの腕の中だった。
「起きた?」
そっと頭を撫で続ける大きな手。
「…ずっと、こうしてくれてたの?」
「ぐっすり寝てたから」
カンケーを持っている男は、行為が終わると、先に帰るか、起きたらいないかのどっちかだった。
目を覚ました時、誰かがいてくれる事なんて滅多にない。
それが余計に、あたしの心を安心させると同時に、彼に対して心を許してしまいそうになった。
だけど…。
「こういうの、良くないよ。唯花が誤解する…」
そっと流牙くんから体を離す。
あたしが大事なのは自分じゃない。
ヤったとかヤってないとか、そんな証明出来ないものじゃなくて、2人でいる事実が何かしらの誤解を招いてしまうかもしれない。
「それ、さっきも思ったけど…」
ちょうどその時、流牙くんの言葉を遮るように彼のスマホが鳴った。
「悪い」
一言断りを入れると、彼はスマホを手にし耳に当てた。