セカンド レディー






「柚姫ちゃんさ、最近連絡ないけどどうしてんの?」


翌日、学校へ行くと隣のクラスの男子…カンケーをもっていた男に声をかけられた。



「ごめんね〜。スマホ壊れちゃったんだ〜」


いつものように貼り付けた笑顔を振りまく。



「そうなんだ〜。ところでさ、今晩、空いてる?」


あたしが霜華に入ってすぐの時は、霜華に怯えている男達はあたしに声すらかけなかった。


だけど最近は、こうやって前みたいに声をかけられることも連絡が来ることも増えてきている。



「ごめんね〜、あたしもう誰かと"遊ぶ"つもりないからぁ〜」


「柚姫ちゃんは特定の子つくらないでしょ?」


にっこり微笑むと、壁にあたしを追い詰めて、片腕を壁に着く男。

廊下を歩く人達は、そんなあたしたちのことを見てまたコソコソと噂話。



「…悪いんだけど」


甘い猫なで声から低い声に変えて表情も消し、顔の横に置かれた腕をそっと下ろす。



「…え?柚姫、ちゃん……?」



明らかに動揺している目の前の男。



「あたし、もう誰とも遊ばないから」


今までのあたしなら絶対に言わなかった一言。


今の霜華での生活を失ったら、あたしの生き場は完全に無くなる。


だけど、なんでだろう……。


不思議と、恐怖は感じなかった。



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