セカンド レディー


「おっさんさぁ、いくらなんでも高校生はダメでしょ。それとも…犯罪、する?」


口角を上げて、にっこり微笑むけれど、目は1ミリも笑っていない。


その笑顔の裏では何を考えているのだろうか。


なんとなくだったけれど、あたしと少しだけ似ていると感じた。


男の言葉に、おじさんは逃げるように立ち去った。



「こんなところにいたら襲われるよ」



あたしの方を向き、投げられた言葉は、優しく温かかった。


今まで色んな男を見てきたし、カンケーだって持ってきた。



大抵の男たちは、下心丸出しで、優しくするのはあたしの事を心配してとかじゃなく全部自分のため。



だけど、この人からはそういうの、感じなかった。



「襲われてもヘーキだよ」



そのためにあたしはここにいるんだもの。


理不尽な理由でバイトをクビになって、まともな稼ぎもないあたしは、家賃を滞納してしまいアパートに住めなくなった。


今は、来年取り壊しが決まっているアパートに荷物だけ置かせてもらい夜は男の家を転々をしている。



そのアパートの管理人は、あたしとカンケーを持った男のおじいちゃんなんだとか。


だから、タダで貸してもらえていた。

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