セカンド レディー


「おっかえり〜」


放課後、蓮は何をしているのか帰りはいつも10時過ぎ。



最初はバイトかな?って思ったけど、帰ってこない日も時々あるから怪しいところ。



「悪い、荷物取りに帰ってきただけだからすぐ出る」


「気をつけてね〜行ってらっしゃい」


どこに行くとか何時に帰ってくるとか言わない。


いつもの事に、慣れてしまったあたしは笑顔で蓮を見送る。




…さてと。


蓮は今晩帰ってこない。


そう確信しているからこそ、あたしも夜の街に出かける。


蓮は一切あたしと体のカンケーを持とうとしなかった。



だからこそあたしは、蓮がいない時に部屋を出て、自分を傷つけることでストレス解消をする。


そうやって、学校でも蓮の前でも完璧なあたしを演じられるようにしていた。




「柚姫、大丈夫?」


だけど、時々あたしの体は悲鳴をあげた。


まだだ…。

あたしが完璧じゃないから。


笑顔や態度なんて視えるものだけじゃなく、あたし自身が完璧にならなきゃいけない。


完璧になって、強くならなきゃ……。


男たちを欺けるほど完璧になって強くなれば、きっとママはあたしのところに戻ってくる。



あたしがもっと…。



「うっ…」


突如襲ってくる激しい吐き気。


だけど、空っぽの胃からは何も出てこない。それなのに吐き気は治まることはなくあたしを苦しめた。


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