セカンド レディー
*
蓮の家で暮らし始めて1ヶ月。
あたしは少しずつ、蓮に対して心を許し始めていた。
だけど、どうしてもあたしの事を話すことは出来なかった。
…知らなくていい。
汚れた醜いあたしのことなんて知られたくない。
「また、タバコ…?」
最近蓮はよくベランダでタバコを吸っている。
出会った時から吸っていたけれど、日に日に本数が増えていってる。
「ん?あぁ…」
蓮はチラッとあたしの方に視線をやるけれど直ぐに逸らした。
「蓮…」
蓮の左手にそっと触れ、持っているタバコを取る。
吸いかけのタバコにそっと口をつけ、息を吸う。
「…ケホッ」
初めてのタバコはむせたけど、
甘くクセのある、蓮の匂いがした。
「柚姫にはまだ早かったね」
にっこり笑う蓮の表情は、偽り(つくられた)笑みだとすぐに気づいた。
「…無理して笑わないで」
このあたしが、人にこんなこと言う日が来るなんて。
…笑える。