セカンド レディー





蓮の家で暮らし始めて1ヶ月。



あたしは少しずつ、蓮に対して心を許し始めていた。


だけど、どうしてもあたしの事を話すことは出来なかった。




…知らなくていい。

汚れた醜いあたしのことなんて知られたくない。




「また、タバコ…?」


最近蓮はよくベランダでタバコを吸っている。


出会った時から吸っていたけれど、日に日に本数が増えていってる。




「ん?あぁ…」



蓮はチラッとあたしの方に視線をやるけれど直ぐに逸らした。



「蓮…」


蓮の左手にそっと触れ、持っているタバコを取る。


吸いかけのタバコにそっと口をつけ、息を吸う。



「…ケホッ」


初めてのタバコはむせたけど、


甘くクセのある、蓮の匂いがした。




「柚姫にはまだ早かったね」


にっこり笑う蓮の表情は、偽り(つくられた)笑みだとすぐに気づいた。




「…無理して笑わないで」




このあたしが、人にこんなこと言う日が来るなんて。


…笑える。




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