セカンド レディー
「…柚姫」
蓮の右手の親指があたしの唇を這った。
「れ、ん…?」
こうやって蓮があたしに触れたことは今までにないため、不覚にも驚く。
「俺…」
ボソッと呟くと、蓮はあたしの唇に自分の唇を押し付けた。
蓮は絶対、あたしに手を出さないと思っていた。
体じゃなく、あたしを見てくれるって心のどこかで期待していたんだ。
あぁ…結局蓮も、他の男たちと変わらないのだとガッカリする。
「一度だけ…いい?」
視界に映る蓮の表情は今までに見たことがないくらい切なげで。
蓮もあたしと同じように何かを抱えている。
蓮の中にあるモヤモヤした感情をあたしに手を出すことで紛らわそうとしている、直感的にそう感じた。
これは裏切りとか利用とかそういうのじゃない…。
あたしを、求めてる…。
あたしを、必要としてくれている…。
それが、とてつもなく嬉しかった。
蓮とあたしはどこか似ている。
あたしなら、蓮の苦しみを理解出来ると思った。
今度こそ、誰かを守れる気がした。