セカンド レディー
「関係ないって言われても、止めた時点で関わっちゃってんだよ」
はぁ…とため息混じりに答える。
こんな小さな声、聞こえないはずなのに。
「あたしが死のうが何しようが、てめぇには関係ねぇんだよ…っ!」
周りにいる人たちの視線があたしに向けられる。
だけど、そんなもの関係無かった。
目の前にいる男の胸ぐらを掴み、感情を爆発させる。
てめぇら男や大人どもせいで、あたしは惨めな思いしながら生きてんだよ。
どれだけあたしの事を苦しめるの…?
もう、解放させて…。
*
「ん、落ち着いた?」
近くの公園のベンチに座ると、ペットボトルのお茶を渡された。
「…いらない」
誰かも知らない。
男が買ったもんなんか口にするか。
…何が入っているかも分からないし。
「…なんで助けたの?」
キッと隣に座る男を睨みつける。
「目の前で死のうとしてるやつを見捨てるほど腐ってない」
…嘘つき。
今はそうでも、いつか絶対に見捨てる。
男が見せる優しさなんて所詮、下心の裏返しに過ぎない。
あたしは二度と騙されない。
「なんかよく分かんねぇけど、色々抱えてんだな。それが抑えきれなくなったってところ?」
どうして、分かるの…?
少し仮面を外しただけで、そこまで分かるものなの?
全てを見透かすような、その真っ直ぐな瞳。
…やめて。
あたしの大っ嫌いな瞳(め)で、あたしを見ないで。