セカンド レディー



流牙くんの話からすると、あたしが蓮に出会った時、彼は桃華にいた。それなのに寂しそうな目をしていて、あたしと似た何かを抱えていた。



仲間では埋められなかったものを……、埋めることが出来ないものを、抱えていたんだよね……。



それが、あたしという存在に出会うことで、少しでも蓮の心が軽くなったのなら……。


あたしが今逃げれば、蓮はまた1人になる……。


ひとりぼっちの寂しさも誰かがそばに居てくれるだけで感じる温かさも、今のあたしは知ってる……。




「…いってぇなぁ」



その時、倒れていた男が目を覚ました。

その男は、ふらつきながらも立ちがる。

そして、お腹を抱え狂ったように笑いだした。




「この姫たちを殺めれば、霜華は潰れて俺たちが最強(トップ)だ。そしてお前の亡骸は、永遠に蓮叶さんのもの。
俺たち全員の望みが叶う、こんなチャンス逃すわけねぇだろうがよっ!」



男がスボンのポケットから取り出したナイフ。

その刃物は、男の近くにいた唯花に向けられる。



……ダメっ!!!



今度こそ、守るんだ…。


唯花を庇うように、抱きしめながら床に倒れる。




…刺される。


そう覚悟した瞬間だった。




あたしの名前を叫びながら、背後に黒い影が現れる気配を感じた。


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