セカンド レディー




「蓮叶、さん…。なんでそんなやつを……っ。違う、俺じゃない…。この女が…お前が蓮叶さんを壊したから……っ」



咄嗟に振り返ると、地面に膝をつき全身を震わせる男の姿とお腹を刺され蹲る蓮の姿が視界に飛び込んだ。






「れ、ん……」



なんで……。


どうしてあたしを庇ったの…?



目の前で倒れる蓮の体をそっと抱き上げる。



「……柚姫」


ゆっくりとあたしの頬に触れる蓮の右手。



人を殴る手とは思えないほど温かいその手は、あたしの知っている蓮のぬくもり。


一瞬でも、冷たいあたしの心を溶かしてくれた。


初めて、こんな醜いあたしを受け入れてくれた。



あの時、蓮に対して抱いた感情が、再び込み上げてくる。



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